銀杏の実が落ちる季節となった。 神社や寺に行くと、境内にイチョウの樹が、
2本植えられている。
基本的にオスとメスが一対となっている。
こうすれば、秋に銀杏の実を収穫できる。
実が臭いので欲しくないという街中の街路樹の場合、
オスのイチョウばかりが植えられる。
*《銀杏》と書いて、
「ぎんなん」と「いちょう」の二通りの読み方となる。
ややこしいので、「イチョウ」は樹、「銀杏」は実とします。
昔々の田舎では、銀杏の実は、争奪戦の様相があった。
早い者勝ち的な、「銀杏拾い」である。
手袋をはめ、カゴを抱えた近所の人たちが、
こぞって集まり、黄色い実を拾ってゆく。
何百、いや千の単位は落ちているであろう銀杏。
争奪戦と言ったが、あまりの多さに、
皆が満足するだけ拾えたものだ。
現代では、争奪戦があまりない。
銀杏拾いをしてまで食べようという人が少ない。
拾っても、どうやって食べるのか分からない。
分からないのに、無理やり拾った場合、
その臭さに、家に持って帰るや、家族に叱られる。
一軒家であれば、外の水道で洗ったりできるが、
マンションなどでは、ベランダに置いていても、
強烈な匂いが近所迷惑になる。
銀杏は、拾ったモノをバケツなどに入れ、
水をヒタヒタにして一日おいておく。
それをビニール手袋をした手で揉みながら、
皮をはがす。
つまり、種だけにしてしまう。
あとは、乾かせば、出来上がり。
食べる時は、ペンチでパキッと割ってから、
そのままフライパンで煎る。
中火でフライパンを動かしながら煎る。
あるいは、封筒などの紙袋に入れて、電子レンジで、
30秒ほど、チンをする。
こっちのやり方のほうが簡単だが、チンの時間が難しい。
時間が長いと、銀杏が爆発してしまう。
塩梅は、自分で見つけるしかない。
ということで、伝統的な《煎る》のが面白い。
煎る場合は、ペンチで割りを入れずに煎る方法もある。
しかい、コチラも、爆発の可能性があり、難しい。
だからだろうか、昔の《煎り機》には、
金網のフタが付いていた。
あの煎り機を見なくなって久しい。
「銀杏は食べ過ぎると毒だヨ」
大人のヒトが必ず言っていたものだ。
では、いくつまでなら良いのかとは教えてくれない。
大人になってからは、おそらく一度に、
10粒ほどは食べている。
もしかしたら、20粒食べているかもしれない。
毒となった記憶はない。
大人は、自分たちが沢山食べたいから、
そう言っていただけかもしれないと、
口をモグモグさせながら、いまは、考えている。 さ、食べよ