映画《バンドワゴン》 フレッドアステア主演の映画である。
ミュージカルの曲として、有名になった曲、
《ザッツエンターテイメント》がこの映画で唄われた。
バンドワゴンが世に出たのは、1953年、
今から71年前、つまり、私が生まれた年。
その時、アステアは54才であった。
もし、アナタがこの映画を観る機会があれば、
アステアのすさまじい能力を見て欲しい。
ダンスというモノの究極であり、「踊る」楽しみを、
世に広めた才能は、年齢を超越している。
40年ほど前、アメリカでは、往年のスターを賛歌する、
ショー的な番組がつくられていた。
劇場に当人を招き、様々なスターも登場し、
本人を語るのである。
同時に、スクリーンに編集した映像も流す。
この番組は主に、映画俳優が賞賛の対象となっていた。
《フレッド・アステア》の回では、
たしか・・・当時72才の本人も客席にいた。
つまり、生前葬のようなもの。
ラストは、客席にいた彼が登壇する。
壇に登る際、階段でわざとつまづいたりするお茶目。
さらには、スクリーンに「これでもかこれでもか」と
流されたマジックのようなダンスシーンを振り返り、
こうつぶやいたのだ。
「ずいぶんゆっくりだネ」
世界的にも稀なスピードとキレのダンスを、自ら
「ゆっくりだ」と揶揄したのである。
会場は大爆笑の拍手となる。
日本では、亡くなると偲ぶ番組があふれるが、
生きている内にしてみるという手はないだろうか?
もちろん本人を劇場にお呼びして――西田敏行さん 世の中に夢をありがとうございました