神様の世界にも、スポーツ省というのがあるそうで、ございまして、ちょいと覗いてみましょうかね。
「おい、スポーツ大臣、今年のベースボールはどうなった?」
「ええ、おおいに盛り上がっておりますが」
「あれ・・だね、ドジャースを独走させちまってるんだって?」
「オオタニ人気で、そのまま勝ってしまう筋書きです」
「おいおい、それじゃあドジャースファンが喜ぶだけじゃないか」
「いけませんか」
「そりゃあ、あっけねえなぁ~なにかヒネリはないんかい?」
「ヒネリと申しますと?」
「逆転サヨナラ満塁ホームランとかサ」
「あっ、それはもう、フリーマンにやらせました」
「なんで?」
「彼は足のケガを押して出ているので、どこかで華をと」
「オオタニは日本人なんじゃろ」
「はい」
「日本人が好きな悲劇のヒロイン的なものはないんかい?」
「っと、申しますと?」
「ここでケガをして、逆境の中、這い上がってきて戦うとか」
「ケガですか・・・・それはどうかなぁ」
「虫を目に飛びこませて、見えなくするとか」
「それはもう、やりました」
「やったの?」
「でも彼は目をこすってるだけで、全く平気でした」
「なんかやりなさいヨ、盛りあげる為に」
「なんかとは?」
「ケガした身体にムチうって、ありえない打球をかっとばすとか」
「ケガは、させたくないですねぇ~」
「そこをひとつ、足の一本くらいボキッと」
「下半身はダメですネ、治った時はゲームが終わってますから」
「じゃ、腕は?」
「彼は来年ピッチャーでも大活躍し、20勝以上するんですヨ」
「どっち投げ?」
「右投げです」
「ほんじゃ、左腕というのはどうやろか?」
「う~む・・・左肩の、弱い脱臼くらいなら・・・」
「おっ、それでいこう、左肩亜脱臼!」
「分かりました、じゃ、いつやります?」
「飛距離1キロのホームランを打った時ってのは?」
「そんなんおかしいでしょ」
「ほんじゃ、盗塁の最中はどうだい?」
「とおるいぃ・・・?」
「滑って左腕を変な角度でつくってのは?」
「やってみますけんど、今期、ほとんど彼は失敗してませんのでネ」
「アンタそういうの上手くやるじゃないの」
「あのネ彼は、宇宙人かも、と言われてるんですよ」
「ほお~」
「私は、地球の神様なんで、思い通りいかなかったら知りませんよ」
「ま、やるだけやってみて」