ゴルフに興味のない方には、何の事か分からないお話を。
ゴルフ《打ちっぱなし》という、場所があまたある。
打ちっぱなしとは、よくぞ名付けた名称で、
《喰いっぱなし》とか、《歌いっぱなし》とかと同様で、
やりっぱなし感が強く、嬉しい響きがある。
ただし、「立ちっぱなし」とか、「座りっぱなし」とは少し違う。
こちらは、強制的にそういう状況になっている訳で、
楽しくない。
「走りっぱなし」や「泣きっぱなし」なども、面白くない。
となると、
ゴルフの打ちっぱなしは、「アトは知らんけんネ」の代表だ。
その昔、《打ちっぱなし場》が無かった頃、
ゴルファーはどうやって練習していたのか?
1;広大な原野で、球を数発打ち、その後自分で回収する。
2;鳥小屋のような囲いを造り、その中で打つ。
3;我が家の広大な庭で打ちぱなし、使用人に集めさせる。
4;海の向かって、打ちっぱなす。(ボールはどうなる)
5;崖の下に向かって、打ちっぱなす。
3と4は随分だなと庶民は思う。
5の崖の上から打つというやり方は、以前、
群馬県のある峠で見た覚えがあるが、
今でも営業しているだろうか?
熱心なゴルファーはおおむね、1か2のやり方をしていた。
1は、現在はさすがにそんな土地がない。
2はささやかな庭に自分で拵え、打っている。
とはいえ、バシッの音がうるさく、ご近所の目を気にしながら、
柔らかく打っている。
ということで、街中から離れた谷間などに、打ちっぱなし場が、
ネットを張り巡らせて営業している。
「24時間365日オープン」もアチコチにある。
そこでは、真夜中にも、バシッと打てる。
飲み屋の仕事を終わった方が、
1時だの2時だのから打ち始める。
夜中に目が覚めてしまったジイサマが、
3本のクラブを自転車に抱えて、やってくる。
日曜の朝早く、これからコンペ(大会)に出かける前に、
50球ほどぶっ叩いて、今日、
会社の皆様に迷惑をかけないようにと、
営業(接待)ゴルフに出かける人もいる。
打ちっぱなしでは、隣の打席が思う存分見える。
休憩で椅子に座ると、隣り方の打ち方を観察できる。
「変な打ち方・・・」
打ち方自体はとても個性的で変なのだが、
一応、ボールはきちんと飛んでゆく。
さて反対側の人に目をやると、こちらの打ち方も独特だが、
バシッ!――とんでもなく飛ぶ。
200ヤード先に並んで建っている網に、
ボールが突き刺さっている。
300ヤード飛んでいるのだろうか?
それが自慢らしく、ブンブン振り回している。
打球音も、ズキャンッ!
以前は、野球のバッティングセンターにあったように、
遠くのネットにマトがあり、それに当たれば、
無料チケットを貰えるサービスがあったが、
今は、あまり見ない。
お隣りの、ズギャンッの方が貰いまくるからだろうか。