人は、食べる時に、美味しいという表現を、 口でする人と、胃袋でする人がいる。
食べた瞬間なのか、食べてしっかり腹におさまった時なのか?
私は、どちら派なのかと、思案していたら、中間派が現れた。
《ホホ派》
なんだそれ?
だれもが思う。
思いながら、考えてみるに・・・
そういえば、美味しいモノを口中にほおり込み、
しばし、クチャクチャやる。
このクチャ大好き人間にとっては、
ホホを刺激されている最中は、恍惚の時間らしい。
らしい、と言って思い出そうとする。
確かに…クチャクチャの間、美味しいモノを、
一気に喉に流し込まないように、
至福の時間を引き延ばそうとしている気がする。
「ゴクンとやっちゃったら、もうおわりジャン」
おわりじゃんガッカリが生まれる。
ここで、胃袋派から異論が出る。
「おわりじゃんとはなんぞね!」
満腹感とは、胃袋にドスンとくる重みですゾ。
思い起こせば、若かりし頃、ドスンが好きだった。
はやくあのドスンが来るように、
あわててパクパクやったものだった。
ゆっくり口中で、しばし味わうなどと云う、
まどろっこしい食べ方ができなかった。
食事=ドスン
ちまちまゆっくり噛んで食べたとすると、
満腹感がおそってこなかったのである。
人間の身体はうまく出来ていて、幾星霜のおかげで、
内蔵を守る為に、ちまちま食べるようになる。
口だのホホだの派に移行する。
すると・・・・
「わたしは、歯茎派です」
という方が現れる。
コロッケだのホワイトソースだのを食べていると、
歯茎にまとわりついて、なんとも気持ちが良いらしい。
食事の最中に、舌で歯茎を掃除するのが、
余韻を楽しんでいる幸せなひとときなのだ、とおっしゃる。
「つまよううじを・・・」
ダメです、爪楊枝は、仕事に過ぎません。
遊びで歯茎をつつかねばなりません、とおっしゃる。
まだまだ色んな派閥が登場するやもしれません。
いずれ又・・・本マグロの大トロ これだけは、胃袋はには任せられん