「軽い脳梗塞になってネ」と、友人が話す。 なんでも、めまいがして、世の中がグルグル回ったらしい。
それが車の運転中だったので、すぐに車を停め、
それ以後、運転はやめたそうだ。
懸命な察知である。
他力本願は恐いという話をしてきたが、
このグルグル感覚で最も怖いのは――
昔、遊園地にあった、《ビックリハウス》
部屋の中に入ると、そこは密室であり、窓もない。
ゴトゴト音が始まると、部屋がグルグルと回り出す。
長椅子に座っているのだが、逆さまになっても、
グルグルはとまらず、回り続ける。
このハウスは、人間の錯覚を利用した施設だ。
実際は、長椅子は前後にブランコのように揺れているだけ。
部屋の壁をその揺れに合わせて回転させている。
子供の頃の、恐いモノ筆頭が、ビックリハウス。
大人になってからも、一度入ったことがある。
東京の浅草の花屋敷に、ソレはあった。
やはり、騙された。
長椅子のひじ掛けを、ギュッと握りしめ、
恐れおののいたのである。
冒頭に話した友人も、実生活でソレが起こったらしい。
ハウスではなく、地球が回る。
おのが立っている所が信じられなくなるという恐怖。
医師の診断は、「かるい脳梗塞」。
現代の医療の診断では、高齢者でなくとも、
よくくだされる診断だ。
「かるい脱臼」と同列にくだされそうな診断。
だが、よく調べてみれば、「脱臼」というケースもある。
《亜脱臼》あらため《脱臼》イタリアンの店内に列車が(ツェルマット)