
《はみだす》食べ物。
昨日、ナンの話をしていたら、
皿からはみだす食べ物が気になった。
《皿からはみだしている》食べ物。
思い出してみるに、代表格は、
《アナゴ一本丼》
アナゴの天ぷらを切らずに揚げて、丼にしている。
なぜかアナゴだけは、切らずに揚げるのが、
望ましい形に落ち着いてきている。
その昔は、アナゴとて、3分割して揚げられ、
ゴハンの上に乗っけられていた。
それを「いっそ」という考えが浮かび、
姿造り的な発想で、一本揚げが始まった。
始まるや、日本中に蔓延し、
丼からはみだしていなければ、アナゴ丼とは言わない、
とまでになった。
同じニョロニョロでも、ウナギはこのレールを踏んでいない。
切り取られ、あるいは、切り刻まれたりしながら、
丼の世界で生きている。
では、他に、はみ出している食材はあるだろうか?
イセエビがラーメンの器からはみ出している姿を見るが、
あれは、イレギュラーであろう。
見栄えを派手にするパフォーマンスと受け取りたい。
はみ出してるのではなく、角などを切り取れば、
充分器におさまるハズのモノを、わざと、
生け花的な発想で、盛り付けただけである。
カニ料理などは、器からはみ出していても、
不思議でないのに、きちんと器内に収めている。
おおきなカニには、おおきな皿を用意して、
はみ出さないように配慮している。
おそらく――「ちらかる」のが嫌いな店側の配慮だ。
はみだしの代表格を言えば、やはりコレだろう。
《パフェ》
スカイツリーのような形のグラスに盛り付ける時、
わざと入りきれない物体ばかりを選んで、
上に上にと膨らませる。
クリームに刺し、デコレートし、
食べ始めのキッカケを与えてくれない。
スプーンとストローの主従関係もはっきりしないし、
サクランボの芯などと、食べられないモノも入っている。
そもそもが、皿の上に紙を敷いて、
その上にグラスを乗っけるという不安定極まりない形状。
持ち上げない場合、支えるのか、手を添えるのか、
左手の関わり方が難しい。
ここまで話を進めていると、一杯横丁のオジサンたちが、
参加してくる。
「はみ出すモノと言えば、やはりコレでしょうがに・・」
《こぼし酒》
グラスに一升瓶から酒を注ぐ場合、
ギリギリで止めると呑兵衛に叱られるので、
波々と注ぎ、たっぷりこぼす。
それが下に敷いてある皿にこぼれ溜まる。
いぎたない飲み方として、呑兵衛には崇められている。
皿だけではなく、〼も使って3段こぼしに、
目を細める方もいる。
この方の目の前の肴は、皿からはみ出たアナゴ一本揚げ!
はみ出た事のない人生を思い出しながら、
アゴを突き出し、ズズ~とすする。
至福の一瞬は・・・息が荒い。
「ああ~やっと はみだせたぁ~」