この写真は、どうやって撮ったのだろうか?カメラが宙に浮いて撮っているように見える。
まだ、ドローンが世の中に無かった頃の写真である。
撮影場所は、まわりに小高い丘のない海辺。
塔もなければ、展望台もないただただ砂原がつづくビーチ。
ヘリコプターでも呼んだのだろうか?
真相:
ウインドサーフィンのセールを張る道具に、マストがある。
ツーピースと言って、2本のカーボンのポールを繋ぐ仕組みだ。
一本、5mのポールを2本つなぐと、10mの高さになる。
そのテッペンにデジカメを縛り付け、10秒タイマーをかける。
シャッターを押して、急いで持ち上げる。
カメラの向きを見ながら調整し、10秒数える。
パシャリッ
こうして、空撮に似た写真が撮れた。
いま現在、同じ写真を撮ろうとすれば、
自撮り棒の先にスマホを付け、さらにポールを伸ばし、
最終的に、ブルートゥースでシャッターを押せばよい。
便利になったものだ。
いやむしろ、ドローンを飛ばして良い場所であれば、
そんな苦労はいらない。
実際、ウインドで海上を走り回る映像はたくさん撮っている。
時速40キロ以上で走る私を、追いかけたり、迎えたりと、
まるで鳥目線の映像をシロウトが拵えられる。
おまけに、映像をパソコン内で、編集できる。
もっと言えば、編集もそれなりのソフトを使えば、
かってにやってくれる。
なんという事だ!
10数年前に、苦労して撮った写真たちには、
それなりの味わいがある。
原本を見ると、ほとんどの写真の水平が狂っている。
良いことに、水平線が写り込んでいるので、修正しやすい。
写された人たちも、長い棒を担いで浜辺に立っている私を見て、
「な~にをやってんだ?」
と首を傾げていたが、できた写真を見て、納得するようになった。
以後、上空にあるカメラに向かってピースするようになった。