我が家の猫の額に、《宵待ち草》がポツンと咲く。宵を待つので、夕方になると黄色の小さな花がひらく。
「♪~ よ~いま~ちぐ~さのぉ~♪」
倍賞千恵子さんの透きとおった歌声が、思い起こされる。
花はおおむねお陽様を好むので、日の出を待ちわびる。
なのに、なぜか日の入りを好む不思議な植物。
だからと言って、夜が好きなのかと、夜、見に行ってみれば、
首をうなだれている。
名前のとおり、ピンポイントで宵が好きらしい。
東京の有楽町のすぐ横にあるのが、《新橋》しんばし。
山手線の駅があり、線路の高架下に飲み屋街がある。
会社帰りのサラリーマンの憩いのたまり場となっている。
サラリーマンになり損ねた私なんぞも、
雑多な雰囲気にまみれたくて、通った時代もある。
《宵》が近づくと、そわそわし出すのである。
宵を待つ時間帯に目がランランと輝きだす。
まもなく・・・というフレーズに首をコキコキ鳴らしたりする。
《都会のオアシス》なる言葉があるように、
宵待ち草は、世の中の必要にかられて、
生まれたのかもしれない。
「日暮れを淋しく思わせない為に・・・」