~~~昨日からのつづき~~~ 50年前の渋谷のゲームセンターで
ルーレットのディーラーを務めている内に、店長から、
「ブラックジャックもやってみるか?」
私の手さばきが機敏なのを見てとって、
トランプのディーラーも任されることになった。
こちらは、トランプをシャッフルし、カットし、配るという、
ややこしい手順が要る。
とても滑らかな動きを要求されるものの、
その手つきが、手品に見えてはならない。
あくまで、正確無比な役所仕事に見えなければならない。
ラスベガスのような大金が動く場所ではなく、
あくまでお金を賭けずに遊ぶゲームセンターなので、
トランプは毎度新しいモノは使えない。
正確なシャッフルと、不正のないカット。
インチキの無い配り方。
たしかに現金を賭けていない客ではあるが、
のめり込むと、勝負に熱くなる。
おかしなトランプの動きには敏感になる。
西部劇で観るような、いい加減なトランプ配りはできない。
お金は賭けないものの、最初のチップは現金で店から買う。
この辺は、現在のゲームセンターと同じ。
なので、負けが込むと、新たにチップを購入となり、
顔が赤らんでくる客もあらわれる。
「おまえ、手付がおかしいんじゃねぇか!」
トランプを配る手付に文句をつける。
「なんで、親(ディーラー)にエース(1)ばかり行くんじゃ!」
インネンを付けるのは、負けているヒトだ。
実は、親が勝つ為にンチキをすることはないが、
客を勝たすインチキはできる。
あくまでトランプの手品の方法なのだが、
ここでは、語らない方がいいだろう。
揉めた客には、その方法で勝たせてあげる。
モメゴトはすぐに収まる。
(ラスベガスなどでは、新品のカードの封を切って使うので
手品はできない)
それを観ていた店長が、店じまいをしている私に声をかける。
「今度、新宿に新店舗をひらくんだが、店長をやらないか?」
それには、即答した。
「お誘いはありがたいんですが、やりません。というより、
僕には向いてません。実はアメリカに行きたいものですから、
アルバイト料を上げてもらえませんか?」
店長は残念な顔をしながらも、次の日から時給を、
しっかりあげてくれた。
しかし、店内の騒音が大きすぎて、私の耳がついてゆけず、
10日後には、辞めてしまった。
店も、3月後に畳んでしまった。
「たまに出ないことがあるみたいです」と書かれている おみくじ