ズルッ ありゃりゃ、下り道で滑って転んでしまった。雨が降ったあとの山の中、尾根の急坂は滑りやすい。
左足がズルリと流れ、逆に身体は右に倒れる。
《逆》という表現が現れると、どこかに軋みが生じる。
今回は、《左ひざの内側のじん帯》が、軋みの対象となった。
「のびた」
この箇所のじん帯は、以前にも伸ばしている。
右足も左足も、何度かじん帯を伸ばし、
病院で、《全治3週間》の診断を受けている。
その感覚を蘇らせた。
すぐに座り込み、ザックからテーピングテープを取り出し、
ヒザの内側に貼り付けてゆく。
外側に曲がらないようにする。
久々のケガなのだが、人間、ケガをした時、
アドレナリンが出て、しばらくは動けることが分かっている。
なんとか小一時間で下山でき、止めておいた車まで行ける。
ストックを両手に持って、ヒザに負担をかけないように、
そっと降りてゆく。
よし、大丈夫だ。
下山するや、コンビニでカチ割り氷を買い、
1時間、アイシングに入る。
その後、なぜか常に持ち歩いている病院の湿布を貼る。
そして肝心なのは、患部を《動かさない》。
良いことに、この日は、キャンプ場に泊まる予定。
何が良い事かというと――
コテージに泊まると、すぐ横に車を停め、
歩いて5歩で玄関を開けられる。
ベッドまで更に、5歩。
かくして「動かさない」を、徹底する。
さて、これまでじん帯を伸ばしたり、捻挫したり、脱臼したりを、
なん度もやり、病院で全治の診断日数を教えて貰ってきた。
このケガは私のカンでは、全治2週間だと自己診断。
その場合、3日後に、ひどい痛みがとれ、
そっと歩くことができるハズ。
10日後には、普通に歩けるハズ。
2週間後には、走ったりテニスが出来るハズ。
ハズハズハズで、10日が過ぎた。
計画通り、(ケガに計画はないのだが)しっかり走れるようになった。
フェイントもできるようになった。
山にも登れそうだ。
この間、私は毎晩、不思議なほどよく眠った。