三つ年下の
妹がいる。
こやつが凄い。
ヨットをやっている。
女性だけのチームの
スキッパー(艇長)だ。
何度か、
日本一になり、日本代表で、海外遠征もしている。
この妹、小さい頃から、凄かった。
両親も、この子が男だったらなあ・・と嘆いていた。
小学校の時だ。
妹が、口の中に何かを突っ込み、騒いでいる。
見ると、
ペンチを両手で握っている。
そのペンチで
前歯を掴み、引っ張っているのだ。
つまり、自分で、歯を抜こうとしている。
おいおい
いくら
乳歯とはいえ、普通、糸で縛り、ドアに括り付けて
とか、グラグラ勝手に取れるまで、
待つ、とか・・
少なくとも、
親に抜いて貰うだろ!
やがて、自分で、体をよじりながら、
バキッ!
取っちゃったよ。 噴出した血で、顔中真っ赤だ。
ガハハハハ
喜んでいる。
我が家は、人食い人種の家系か?
その妹が、
中学生の時だ。
リ~ンリ~ン(当時の電話の音)
けんじろう君がひょいと出た。
『
おたくの娘さんを手術したいのですが・・』
スワっ!
受話器が舞い踊った。何本もの手の上を飛び交い、
やっと父親の耳に収まった。
「ち、ちちおやですが・・」
先生が語るところによると
診療時間が終わる頃に、女子中学生が入ってきたらしい。
入ってくるなり、
『
盲腸になったから、手術してちょうだい』
と言う。
まあ、とりあえず診察をしたら、確かに急性盲腸だ。
とにかく、親に電話を・・という経緯らしい。
ふ~ん、自分で行くものなのか・・
ふ~ん、腹痛と盲腸の区別がついたんだ・・
ふ~ん、手術、とか、別に怖くないんだ・・
ふ~ん、いったんウチに帰ったりしないんだ・・
やつの場合