
<舞台に出ている役者は、自分の舞台を観る事が出来ない>
当たり前の事だが、これが、
つまんないのである。
アレは、確か、金沢公演だったか・・
加藤健一事務所で、<第二章>という作品を演った。
その金沢の劇場で、その芝居を観たくなった。
いい事に、30分ほど、イシマルが出ていないシーンがある。
(そうだ、
客席で観てみよう)
決断すると、行動は早い。
楽屋から、グルリと廊下を廻って、客席に行った。
1500人近く入る劇場でデカかった。
後方の席は空いている。
舞台では、加藤健一と高畑淳子が演じている。
これが、面白い!
引き込まれる。
稽古場で見ていたものとは、大違いだ。
役者の大きさを感じる。
観客の笑いに吊られて、大声で笑ってしまう。
あはははは~
アレッ、ミュージックが入った。
この曲は!!!
暗転だ!あと15秒もしたら、明かりが点き、そこに、イシマルが
立っている設定なのだ!
(これから、ウラに走っても、30秒はかかるぞ!)
どうする? どうする? どうする?
走りました!
ウラへ?
いえいえ、舞台への最短距離、つまり
客席の階段を
風のように
走ったのです。
そのまま、ピョ~ンと舞台に飛び上がり、
クルリと振り返った瞬間、パっと
明かりがついた。
ご迷惑をかけた、加藤健一事務所の方々、ごめんなさい。
そして、金沢の劇場では、
<暗転中に、いたちが走り回っている>
という噂が広まっているらしい。
(いません)