
この写真、何をやっているか、わかりますか?
誰かが、<
砲丸投げの練習>をしているのです。
そっと、眺めていました。
彼は、所定の場所から、重たいタマを投げるのだ。
ひとつ・・ふたつ・・みっつ・・
3個のタマを投げ終わると、十数メートル先に転がった
そのタマを拾いにいく。
ぼそぼそと歩く。
拾っても、重たいので下手でよいしょと投げる。
やがて、再び、元の場所から
同じ行為が繰り返される。
彼は、ひとりだ。
コーチはいない。
ただ、黙々と重いタマを投げる。
これまで、様々なスポーツの練習風景を見てきたが、
これ程、短調で、
つまらなそうな物は知らない。
つまらない なんて言ったら、彼に怒られそうだ。
逆に言えば、彼はすごい人なのかもしれない。
マラソンだって、ただ走るだけだが、
少なくとも、
風景は変わるぞ。
水泳は風景は変わらないが、長距離を泳ぎきった
達成感があるぞ。
同じ投擲種目でも、円盤投げや、ハンマー投げは、
遥か遠くまで飛んだという
満足感があるぞ。
同じ球技でも、サッカーとは、天と地ほど開きがある。
待てよ? これは、
球技じゃないのか・・
彼を眺めていたら、ギリシャ神話のあの話を思い出した。
《オリンポスの神々に敗れ去った
巨人シジフォスは、その罰として、大きな岩を山のてっぺんまで、運びあげる苦役を課せられた。しかし、何度運び上げても、ゴロゴロと落ちてしまうのである。永遠に終わる事のない作業・・》
このギリシャ神話を、彼は知っているだろうか?
どうか知らないで欲しい。
もし、知ってしまったら、もう、
・・タマを拾いにいけなくなるよ・・