アーティストの特権
作家や、作曲家が亡くなると、その後も、
著作権料というものが、入ってくる。
残された家族には、有難い制度である。
画家だって、残っている絵を売ればいいわけだ。
ところが、同じアーティストでも、
役者は死んだらしまいだ。
家族は路頭に迷うばかりである。
・・とそこで、イシマルは考えた。
こういうプロダクションはいかがだろう?
<
遺影プロ>
早い話が、
遺影を貸し出すプロダクションである。
ドラマの中で、仏壇などに、
出演者以外の遺影を飾ってある時がある。
その写真を貸すのだ。
このプロに所属しているタレントは、年に一回遺影写真を撮る。
毎年ストックされる。
年齢別の遺影が貯まっていく。
そして、やがてそのタレントが
亡くなったら、次の日から、
遺影は働き始めるわけだ。
ギャラは、ご希望の場所に振り込まれる仕組みだ。
どうです? たいした額にはならないが、
死んでも、働き続ける立派な役者なのだ。
家族想いの役者だったと感謝されるに違いない。
『ねえ、あの役者さん、死んでからの方がいい芝居するねえ』
な~んて評価が出ないとも限らない。
どうです?
やってみませんか?
ただし、一般の方は加入出来ません。
『わしらの仕事取るなよ~』