蝉の声は大きい。
身体の比較からすると、恐らく、地球上の動物の中で、
最も大きな声で鳴いているのではないか?
ご町内で、一匹鳴いているだけで、50人位が
うるさいな・・と思う。
この声の大きさを何かに利用出来ないか?
そうだ、楽器を作ろう。
オスの蝉の腹には、音を出す為の
共鳴板が二つ付いている。
その板を、拝借するのだ。
数多くの蝉を捕まえてくれば、それぞれ、
音階が出来るだろう。
その板をピアノの鍵盤の裏に、並べる。
そして、鍵盤を押すと、板が振動し、音が鳴る仕組みを拵える。
言ってみれば、ピアノ線の代わりに、
蝉の共鳴板があるという事だ。
蝉のシンセサイザーと言ってもいい。
電気は使わせてもらうが、音の増幅器はない。
自然な、蝉の音色そのままだ。
『さて皆様、今宵、武道館コンサートの花形の登場
でございます。世界でも初、というこの楽器!
その名も、
SEMI・・さあ、お聞きいただきましょう。
演奏は、製作者のイシマルケンジロウさんです。
えっ違う?本人は演奏出来ない?
へたくそ・・?
え~失礼いたしました。代わりまして、
演奏は、近所の幼稚園の先生だそうです。どうぞ・・』