雪国にいると思って下さい。
ハイエースに乗っていると思って下さい。
その天井が、
サンルーフになっていると思って下さい。
その前夜、大量の雪が降って、ハイエースの屋根に
50センチ積もっていると思って下さい。
そして、車のエアコンなどを扱う
リモコンが、
運転席の後ろに座っている私の手元にあったのです。
(おお寒い、暖房を)
ピッ
ゴーーーー(なに?ゴーーって?)
上を見ると、サンルーフが開き始めている。
どうも間違って、ボタンを押したらしい。
(え~と、閉めるボタンは?)
ボタボタボタボタ・・雪の塊りが降ってくる。
あっと言う間に、
リモコンが見えなくなった。
『イシマルさん!早く閉めて!』
周りのスタッフが叫んでいる。
解ってはいるのだが、雪がどんどん落ちてくる。
リモコンが見えない。
ドカドカドカ・・
もう、リモコンどころか、胸まで雪に埋もれている。
ハイエースのサンルーフは広い。
まだまだ、開いていく。
ドサドサドサ・・『ギャー!』 スタッフが逃げ惑う。
・・やがて、静かになった。雪がやんだ。雪崩がやんだ。
誰も、口をきかない。
サンルーフの面積×50センチの雪が車内にぶちまけられている。
固まっていた雪がほぐされたので、
2倍の量になっている。
イシマルの雪だるまが出来ている。
それからの30分、車内の雪かきと雑巾掛けに費やされた。
みんな押し黙ったままだった。
(アホな役者を乗せたもんだ・・)
と言いたげな沈黙が、続いた。
雪国では、サンルーフを売らないで下さい!