私の好きな、菊池寛の小説<
恩讐の彼方に>
これは、ある実話が元になっている。
大分県に耶馬渓(やばけい)という、山深い渓谷がある。
その渓谷の岸壁に穴を穿って道を作った一人の男がいるのだ。
江戸時代の話である。
そして、のみと金槌で穿ったその穴は
<
青の洞門>と呼ばれている。
さて、この
洞門…って何?
トンネルではない。トンネルは、入り口と出口以外は
外と通じていない。真っ暗だ。
洞門は、所々、穴が外部に空いている。
所々どころか、頻繁に空いている所が多い。
道路の片側だけが、柱の窓になっていると思えばいい。
長い蛇の寝床のようだ。
この洞門。
長野県に多い。岐阜県にも多い。それも日本海寄り。
そのあたりの道路は、洞門だらけである。
洞門銀座、洞門天国だ。
延々何キロも続いたりする。
トンネルに入ると、
ゴーーーーという音がするが、
洞門では、
ドオォーーーーーーーモンという音がする。
(強引だなあ)
その洞門の
全貌が見えるときがある。
遠くの方まで、山並みを縫って洞門が続いている。
まるで、山の上と下を繋ぐ、
ジッパーの様だ。
山に、何が入っているのか、ジッパーを開けたくなる。
海が見える洞門で面白い所は、富山県の<親不知、子不知>だ。
三陸海岸には、以外と少ない。
まあ、すぐに読めるから読んでみてくださいな。
<恩讐の彼方に>