能登半島の輪島市の東10数キロの所に
<千枚田> という面白い地形がある。
所謂、棚田と言って、傾斜地に作られた、田んぼの群れだ。
ホントに千枚ある。
一番小さい田んぼは40センチ×50センチだ。
この千枚田に、ふらっと通りかかった。
すると、偶然この日
田んぼに
真っ赤な緋毛氈(ひもうせん)が敷かれてある。
何だろう?
見ていると、紋付袴の人達がぞろぞろ集まってくる。
「お祭りですか?」
『あはは、
結婚式なんじゃなあ』
なんでも一年に一回、米の収穫時期に、
全国から応募された中から2組のカップルが
千枚田の中で
式を挙げるのである。
村人も集まり酒盛りをするのである。
爽やかな風に吹かれながら、日本海の青、実った稲穂の黄
緋毛氈の赤のコントラスの中、宴が始まる。
折りしも、この一帯の区長さんに出会った。
お名前は、
田中さん。
その田中さんが千枚田で作ったというお米を売って頂いた。
目が飛び出るほど美味かった。
この千枚田の先人の昔話によると、
ある時、村人が、見渡せる田んぼの数を数えたのだそうな。
一・二・三・・・
最後の一枚を数え終わったが、
九九八枚しかないという。
もう一回数えたが、やはり九九八枚。
へえ、しょうがないなと思って、横に置いていた風呂敷を
持ち上げたら、そこに
一枚。
よいしょと立ち上がったら、その下に一枚
田んぼがあったとさ。