カップラーメンを食べるのは、大変な苦労を要する。
まず、あの周りを被っている
ラップが破けない。
取っ掛かりが解らない。
どこにどう爪を立てても、簡単には破れてくれない。
どちらかと言えば、
ラッキー!で破けている様な気がする。
余りにも破れないので、ボールペンを使って底の部分を
チョンと突いたら、
ブスっ!ラップもろとも底のハッポースチロールまで
穴が開いてしまった。
やっと採れたラップが指に絡みつく。
静電気で絡みつく。
指を振る!ブルブル振る!
取れない。
クソっ!
思いっきり振ったら、バチン!テーブルに指をぶつけた。
お湯を注ぐ。蓋をする。3分待つ。
すでに、カップラーメンの歴史は30年を越えた。
にも関らず、<
ただ待て>と言う。
ただガマンしろと言う。
味だの
香りだの
具には、莫大な資金と知恵を投じているのに、
お客の<
待つ>という行為には、何のサービスも無い。
せめて、蓋にクイズを出して貰いたい。
3分以内で解けたら、「あんたはえらい」
と云うクイズを出して貰いたい。
30年以上カップ麺を食べているのに、
この3分が苦しい。
時計を何度も見てしまう。
(もう大分経ったな)と思って時計を見ると
30秒しか経っていなかったりして、自分にがっかりする。
特に
最後の1分の過ごし方が難しい。
秒読みするには早過ぎるし、
忘れた振りをするには、出来上がり時間が迫り過ぎている。
しかし、人生はどうあがいても時間は進むもので、
やがて、フィニッシュタイムがやって来る。
ジャ~ン!うわ~い!3分経ったぞお~!
割り箸を持ち、蓋をベリリと剥がす。
ジャブジャブと麺をかき混ぜ、箸で持ち上げたその時・・・
ガ~~~~ン!!!
(
猫舌だった、オレは・・・)
苦労したカップラーメンを食べ始めるまでに、さらに
5分の間、待つのであった。