<世界の車窓から>
を作っている、番組ディレクターに
Fさんという人がいる。
車窓の番組に拘わらず、テレビの製作スタッフは
忙しいを絵に描いた人達ばかりで、年中暇なしだ。
徹夜徹夜で顔色も悪い。
Fさん、長年の仕事の過労がたたり、
部分入れ歯をしている。
去年、ドイツの車窓取材に、Fさん颯爽と向かった。
成田からジェット機でスイッと旅立った。
やがて北極圏上空、機内食をパクつき始めたFさん、
?
わ、忘れた!
入れ歯を忘れた!
家に部分入れ歯を忘れて来たのである。
(入れ歯って、入れ忘れるモノなのだろうか?)
という事は、これからの一ヶ月以上、入れ歯なしで
過ごさなければならない。
Fさん不安になった。
食事がまともに食べられるだろうか?
日本いれば、ご飯やうどんなど、噛まずに済むものがある。
しかし、行き先はドイツだ。硬派のドイツだ。
あの岩より硬いベンツを作って自慢しているドイツだ。
何とかしなければ…
そうだ!
EMS(
国際郵便)があるじゃないか!
あれで送って貰おう。
さっそく手配する。
ところが、送り先が難しい。
車窓のロケと言う事は、列車に乗っているのである。
ほとんど、動き回っていると云ってもいい。
そこで、先回りで、予約しているホテルに送って貰った。
ところがである。郵便も列車と同じで、時間通りに着くとは
限らない。
やはり遅れた。
やむなく、次のホテルに送って貰う。
これが繰り返された。
そして、旅も終わりに近づいたミュンヘンの地で
Fさんは、分身である入れ歯と再会したのである。
<
入れ歯は世界を巡る>
とても題名にしたくなかった。こんな題名の本があっっても
買わないよね。
そして、そのFさん、今年のアメリカ横断ロケで、
世界を旅した<
分身>と別れてしまったのである。
「え~どこに忘れたの?」
『デンバーだったかなあ・・・』
Fさんの場合、<
ワンデーイレバー>を作って貰いなさい。