
『一週間後に、又来て下さい。』
京都で時代劇を撮影していた時の事だ。
全部撮り終わったと思ったら、ワンカット
撮りこぼしたのだ。
てなこって、一週間後、新幹線で東京から京都に向かった。
撮りこぼしのシーンとは、
イシマルと女優
岡本麗の二人が、お縄になって、
屋敷から外に引き出されるシーンだ。
それを
超ロングと言って、
遥か遠方からカメラが狙うのだ。
夜になって撮影が始まった。
イシマル、縄で身体を縛られ、捕り方に繋がれている。
(ん?おかしいな、岡本麗がいないぞ)
岡本麗の代わりに、同じ衣装を着た女優がお縄になっている。
何でも、岡本麗は、
他の仕事が入り、来れなかったそうなのだ。
つまり、代役だ。
代役さんとイシマルは並んで、屋敷の外に引き出された。
その時、助監督が遥か遠くに見えるクレーン上の
カメラに向かって叫んだ。
『このひと岡本麗さんと違ゃうネンけど、
ワカル?!』
「ワカラへ~ん!ぜ~んぜんワカラへ~ん!」
(へ?わからないの?んじゃ、隣にいる私は誰なの?
ねえねえ、誰なの?当然イシマル君もワカラないんだよね。
新幹線でわざわざ来たんだけど、ワカラないんだよね。
今夜京都に一泊する人なんだけど、やっぱワカリませんかァ)
こういうの大好きだ。
開けっ広げな撮影所の人達。
いいなあ、コノ世界。
楽しいなあ、コノ世界。