<富津犬
(ふっつけん)>と我らは呼んでいる。
ウインドサーフィンのレース会場に、千葉県の富津岬がある。
東京湾にグイっと2キロほど突き出した岬だ。
その地に、野良犬がたくさんいるのだ。
様々な種類がいるところを見ると、捨て犬だ。
心無い飼い主がここに捨てに来るのだ。
捨てられた
彼ら犬達は、
どうにかして生きていかなければならない。
食い物があまり無い土地だ。
しかし、そこは観光地でもある。
ドライブの車がひっきりなしに訪れる。
バーベキューをやる人達がいる。
そのオコボレを貰ってかろうじて生きている。
そんなある日、レースの休憩時間に弁当を食べていると、
一匹の犬が近づいて来た。
様子がおかしい。
右の前足が地面に着いていない。
怪我をしたのだろうか?
ピョコンピョコンと歩く姿が痛々しい。
思わず、箸でつまんでいたソーセージをひょいと放った。
するとどうだ!
パクっとソーセージを咥えるや、
脱兎の如く走り去ったのだ。
足を引き摺りもせずに・・・
あの足のピョコンピョコンは、何だったのだ?
彼犬は、どこであの芸を学んだのだろうか?
余りの見事さに関心してしまった。
と同時に悲しくなってしまった。
~~~ ~~~ ~~~
我らウインドサーファー。あの犬達を何とか出来ないものかと
知恵を絞るが、思うようにいかない。
なんせ捕まえる事が出来ない。
それでも、なんとか手なずけた犬を、持ち帰り大事に飼っている。
どうか、もう捨てないで。
どうか、犬に、
足を引き摺る芸をさせないで下さい。
そういえば、さっき、
<彼犬>と書いた。
あなたは、何と読みましたか?
カレイヌ キャツ ケ~ン
どれも正解です。答えはありません。
ただし、キャットは間違いです。
それは猫です。