
大作映画などでは、
ロケセットを組む事がある。
ひとつの町並みを作ってしまう。
車も走るし、交差点もある。
お店や、民家も連なっている。
裏に回れば、ベニヤや衝立で出来た
ニセモノだと解るのだが、
表通りを歩いただけでは、解らない。
『帰りにこの店で飲んでいこうか』
なんて、言葉がつい出てしまう。
ところが、
アル物だけが、決定的に違うのだ。
一見見ただけでは解らないが、
よくよく見れば、違う。
さて、何でしょう?
答え
<
信号が低い>
通常の信号の高さより、1~2m低い。
理由は・・・そうしないと、映画の画面に映らないのだ。
映画画面は、横に広がった、スクリーンに映っている。
今の、テレビのワイド画面だ。
するとどうなる?
向こうから走ってくる車と信号を、同画面に入れようとすると
どうしても、カメラを引いて撮らなくてはならない。
必然、車が小さくなる。
迫力が出ない。
そこで、立て関係にあるモノを低くするのだ。
すると、赤信号を無理やり突っ切る車・・を撮れる。
これは、テレビドラマなどでも多用している。
例えば、
飲み屋のカンバン。
主人公が飲み屋街を歩くと、<アケミ>だの<雅>
だのといった、バーのカンバンが顔の近くに映る。
でも、実際の世の中のカンバンは顔の高さにはない。
もっと上だ。
しかし、それでは映らないってんで
美術さんが、作って吊るしているのである。
不思議なもので、見ている側は、違和感を覚えない。
今度、そんなシーンがあったら、気をつけてみよう。
逆に、リアルに上の方にあったとしたら、それは、
そのまま撮影したわけで、
その代わり、出演者は、
アップになっていないだろう。
まあ、信号まで下げて撮影するのは、大作映画くらいである。
ところで、下の写真の信号は、撮影でもないのに
なんという低さだろう・・