
<領収書>を貰うのも大変である。
税務署と云う所は、厳格さの総大将みたいなもんで、
間違った名前や数字が大嫌いなのである。
『領収書ください』
「お名前は?」
『いしまる で』
「いし?」
こんな簡単な名前にも拘わらず、問い返される。
問い返す方も、ごくろうであろうが、
領収書を書くだけで、相当の時間と労力を用しているのだ。
瓜生田(うりゅだ)さんや、東雲(しののめ)さんは
どうしているのだろう?
斑尾(まだらお)さんなんか、漢字を見せても、
うまく書けないかもよ。
斑の右側は 王 じゃないからね。
「
まんださんはどうしているの?」
女優の万田久子さんに尋ねてみた。
「そうなのよ、正確に書いて貰えないのよね。殆どが、
<万田>。ほんとは<萬田>なのに・・
(あっそう、こっそり、携帯のアドレスを、
万田から
萬田に変更する)
試しに、萬という文字を手書きにしてみたが、
ソラでは、うまく書けなかった。
こんな簡単な文字なのに・・
領収書を書く、領収書を書いて貰う、という行為は
大変なのである。
先日もこんな事があった。
「宛名は何に致しましょう?」
『いしまる で』
「にしまる?」
『い しまる』
「うしまる?」
『いえ、普通の
いし に普通の
まる で』
「え~と、え~と」
『あの、
石丸電気の いしまる で』
(東京には石丸電気という誰でも知っている有名店がある)
出来上がった領収書には、こう書かれてあった。
石丸電気 様