
<ラジカセからラジカセに電波を飛ばす事が出来る>
そんなラジカセがナショナルから売り出された。
電波を飛ばせるという事は、
カセットに録音したモノも
飛ばせるという事だ。
ピーーン!
イタズラ心に火がついた!
(おっとぉ、コレは、35年も前の話である)
当時の下宿に、友人がふらっと訪ねてくる。
その時、隣の部屋から、そのラジカセで電波を飛ばすのだ。
もちろん、あらかじめ、
演出され録音したモノを飛ばすのだ。
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イシマルと友人Jが談笑している。
ラジカセのラジオからは、イージーリスニングの音楽が
流れている。
その音楽が途中でブツと切れる。
『番組の途中ですが、臨時ニュースをお知らせします。
ただいま、北海道管区警備隊からの情報によりますと、
帯広北方より、未確認飛行航空機が南下しつつあるとの
一報が入り、その ビビ 自衛 ガガ しばらくお待ち』
友人Jが凍りついた。
何が起こったのか理解出来ない。
手を伸ばし、ラジオの音量を上げようとしている。
その指先が震えている。
『ビービー ュショウ官邸では緊急閣議を開き、ガーガー
なさまは、テレビラジオをこのまま 切ら に 』
この時、部屋にはテレビは無かった。
しばらく、クラシック音楽が流れる。
『ただいま!ただいま!青森三沢空港より飛び立った自衛隊機と
未確認飛行機が交戦状態に入ったとの情報が入りました。
繰りか しおつ ガーガー』
時代はアメリカとソビエト連邦の究極の冷戦時期。
一触即発の火柱が散っていた時代。
友人Jが真っ青な顔で、一言つぶやいた、
「原爆が・・」
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このイタズラはやり過ぎた。友人Jは、しばらくの間、
立ち上がれなかった。
実際、腰が抜けていた。
腰が抜けた人間を初めて見た。
そして、このイタズラに共謀した、隣の友人木村が
(あっ、伏せ名にしよう。友人Kが)
あろう事か! このラジカセを持参し、嬉々として
自分の両親が住む四国の自宅へと向かったのだった!
その顛末は、又、明日・・・