日本列島は、南北に長いが、
東西にも長い。
例えば、東京と沖縄は、時差が
50分くらいある。
『なあ~んだ、それくらい』
と悠長に構えていると、つらい目に会います。
沖縄の6月
本州では、梅雨の真っ盛りの頃、
もうそこは、すでに夏を迎えている。
夕方、仕事が終わり、
「ちょいと一杯いくかい・・」てなこって、
6時くらいに、居酒屋の暖簾をくぐる。
いや、くぐろうとして、背後を振り返る。
「なあんか、明るくなかナイ?」
そう、太陽が燦燦と輝いているのだ。
それも、まだ、
ウエの方で。
はい、パソコンから目を離し、思いっきり伸びをしましょう。
両手を伸ばしましたね。
その右手の延長線上に太陽があると思って下さい。
沖縄の太陽は、夕方6時なのに、
まだそんな所で、グズグズしているのだ。
とはいえ、いったん暖簾をくぐってしまえば、
もうこっちのもの、ぐびぐびビールをあおる。
がぼがぼ、泡盛を流し込む。
さて、時は経って、2時間後。
ほろ酔い加減で、お店のドアを開ける。
があ~~~~ん!!
明るいじゃん!
あいつ、まだ沈んでないじゃん!
あいつと呼ばれた、黄金色に染まったお天道様が
酔った我らを、カンカンと照らし出す。
まるで、真昼間から、お酒を飲んでしまったような、
罪悪感にさいなまれる。
社会人として、道を外れた気分に襲われる。
時計を覗くと、内地では、もうしっかり夜の範疇なのに、
『こんな時間から酒を飲みやがって!』
街を行く人の非難のまなざしが痛い。
ランチタイムに堂々と、酒盛りをしてしまったかの錯覚に陥る。
通常なら、
「も一軒行きやすかぁ~」
とスキップしながら、はしゃぐのだが、
あいつにカンカン照らされたもんだから、
急にシラフに戻ってしまう。
町内のごみ掃除のお手伝いをしようか・・などと
殊勝なことを考えたりする。
犯罪心理学によると、
犯罪を犯した逃亡者は、
北へ北へ逃げると謂われている。
それは、
太陽を背にして歩くからだ。
太陽をまともに見ることが出来ないからだそうだ。
ランチタイムに酒盛りをした我らは、肩をすぼめ、
東へ東へと歩いていったのだった。