「かしこまりました、メニューを片付けさせて頂きます」
ねえねえ、このセリフよく聞きませ~ん。
ファミレスでも、
ちょっとお高いレストランでも、
かなりの頻度で、このセリフを聞く。
<メニューを片付ける>
ねえねえ、ぼくら、食事をする場所に何しに行くんだろう。
勿論、食べに行くんだ。
あるいは、飲みに行くんだ。
でもね、それ以上に、
メニューを見に行ってるのかもしれない。
メニューを見る楽しみで、出かけてるのかもしれない。
「え~そんな事ないですよ~」
と思ったあなた!
では、試しに、あなたがファミレスに出かけたとしましょ。
「タクはハミレスなんザ行きません事よ」
まあまあ、それでも無理やり行ったとしましょ!
さあ、出てきたメニュー冊子の素晴らしか、素晴らしか・・
この
写真さえあれば、
ご飯が2杯くらい食べられるのではないかと思える程の
美味しそうな品揃えである。
写真で2杯なら、実物が出てきたら、何杯なんだ・・
と、粘着質な発言は無視して・・・
それほど、メニューが我らの食欲に占める役割は大きい。
ふんじゃ、こう考えてみよう。
もし、ファミレスに写真メニューが無かったとしたら・・
壁に、ハンバーグだのカレーだのを
へたくそな文字で、書き出してあるのだとしたら・・
恐らく、とっくの昔に潰れてるだろね。
きっと、
ぼくらは、あの
メニューを見る為に出かけているのだな。
メニューを見る幸せを感じているのだな。
そんな時だ!
この声が降ってくるのだ。
「
メニューを片付けさせて頂きます」
片付けさせてくれと、テーブルの横に立つ御仁が言うのだ。
だけど、ぼくらは、片付けて欲しくないのだ。
注文した<和風おろしハンバーグ>を食べながら、
メニューを見ていたいのだ。
今食べている
和風おろしハンバーグを
写真の
和風おろしハンバーグで
噛み締めたいのだ。
ぼくらとしては、店に入った時から、出る時まで
メニューだけを抱いていたい心境なのだ。
最も、極端な言い方をすれば、
店に入って、
メニューだけを見て、帰ってもいいのだ!
それくらい、メニューに惚れていると云ってもいい。
だのに、そのメニューを片付けるって、
どぎゃんこつね!
ドン!(テーブルを叩く音)
ガタ (メニュー立てが倒れる音)