ニュージーランドとは
<新>ジーランドという事である。
ところが、本国のイギリスには、ジーランドはない。
実は、海隣のオランダにある。それも、
ゼーランド州という地名だ。
そのニュージーランドに
15年ほど前にロケで行って来た。
「これまで、身体が腐らない薬を打った事がありますか?」
私を診察した現地の医者がのたまう。
イシマルは怪我をしたのだ。
南島のクイーンズタウン郊外の美しい湖を訪ねた。
フライフィッシングをやろうというのだ。
竿を振ると、竿の先から、糸がどんどん伸びていく
あの釣りだ。
先っちょに、毛ばりが付いている。
初めてやった。
竿をブンブン振った。
毛ばりが前後にブンブン飛んでいる。
その時、悪い事に突風が吹いたのである。
前後に飛んでいた毛ばりが、僅かに逸れた。
逸れた場所に私の顔があった。
カシャア~ン!
顔面のどこかに、毛ばりが激突した!
現地のインストラクターが跳んで来て、覗き込む。
なんと!
右の
眉毛の中に毛ばりが突き刺さっている!
とりあえず、テグスを切る。
血は流れていない。
何とか、毛ばりを外そうとするが、巧くいかない。
「撮影はどうする?」
私が心配をしていると、カメラマンが私の顔を覗き込み、
『ほお~眉毛の中に、毛ばりが紛れ込んで、見た目解かんねえな』
役者の顔の中に釣り針が刺さっているというのに、
ロケは続行されたのである。
役者はツライなあ。
さて、ロケを済ませて、町の病院まで、車を飛ばす。
町と言ったって、日本で言えば、
村である。
寒村である。
そんな田舎の病院で外科手術をするのかあ?
イシマルの不安をよそに、現われた医師は、
麻酔もせずに、ちょちょいのちょい。
あっという間に、針を取り除いた。
跡形も残っていない。
そして、冒頭の言葉。
「
腐らない薬を打った事があるか?」
たどたどしい現地通訳の言葉を、私の頭が通訳する。
<化膿止め>のことかな?
『いや、打った事ない』
返事をするや、ズブリ!
痛~い一発を打たれた。
「これで、あなたは、今後
10年身体が腐らない」
え~ほんまかいな~
ニュージーランドという国、日本と同じほどの国土の広さに
400万人弱しか住んでいない。
だからちょこっとの怪我で、
そう簡単に病院に行けないのである。
そこで、日本では薬事法により禁止されている
強~い化膿止めを打っている。
そして、外科医者が非常に優秀なのである。
そう云えば、あれから10年間、切り傷擦り傷をしても
一切化膿しなかった。
そして今、15年経った。
当然、薬の効き目は切れた。
必然、化膿するようになった。
よし!ニュージーランドへ行こう!