餃子大好きである。
まあ、10人中9人は同じく、大好きである。
東京から、車を走らせて、
わざわざ宇都宮まで、食べに行くほどである。
そんな、私が最近、思わず声を発した店。
「
うまい!!!」
その店は、福島県福島市にあった。
駅前から歩いて10分ほど。
とある、路地裏に、ひっそりこっそり営業していた。
<
満腹>
なんの変哲もないとは、この店の為に生まれた言葉だ。
店構えには、まったくコダワリを持たないご主人であるようだ。
仲間と
ぶらりと入った。
店内も、まったくコダワリを持たないらしい。
「生ビールと餃子人数分ね」
『あいよ』
注文してから、気付いた。
一人前30個とある。
30個!
通常の餃子屋だと、6個から7個である。
小ぶりの餃子を出す店でも、20個程度だ。
回りの客が食べているのを盗み見ても、
ことさら小さい餃子ではなさそうだ。
『おまちどうさま~』
ソレは来た。
皿に、グルリと丸く弧を描いて乗せられている。
ぎっしり詰め詰めで30個乗せられている。
こんなに詰め詰めで焼かれた餃子を見たことがない。
(こんな事したら、くっ付いちゃうだろう)
不安気に、ハシで持ち上げる。
フワっ、軽くひとつだけ持ち上がる。
やや小ぶりだが、内部に空気が充満しているらしく、
ふっくらとしている。
さて、お味のほうは・・・
ほんぎゃああ~~~!!!
うまい!!!
この餃子の美味さの秘密は<
皮>にあるかもしれない。
とても薄い皮だ。
なのに、絶妙な旨みがある。
それより何より、何故こんなに
くっ付けて焼いて
くっ付かないんだ?
パクパクパクパク
はっと気付いたら、30個が消えていた。
一人前の数の理由が判明した。
30回、ほっぺたが落ちたのだ。
30回、溜息をついたのだ。
お店を出て、お店の名前どおり
満腹なのに、
もう一度戻って食べたくなったほどである。
どうか、いつまでも変哲がない事を祈ります。