常々、
扇子を持ち歩いている。
暑がりの私としては必需品なのだ。
三大必ず持ち歩くモノの一つに入っている。
あとの二つは、財布と携帯だ。
五大になると、これに、タオルと着替えのTシャツが入る。
それほどの暑がりで、汗かきだ。
その扇子に文字を書いた。(上の写真)
もう何年もこの文字で通している。
そもそも始めは、白扇のままだった。
白いまま、ロケ現場で仰いでいたら、先輩役者に
「縁起が悪い!」と叱られた。
そこで、墨筆でええ加減に書きなぐったのである。
(白扇は、ほんとに
縁起が悪いのか、今でも疑問なんだが・・)
さて、何と書いてあるか。
将棋わかりますか?
将棋好きの私が書いたもの・・
飛車よりも (ひしゃ)
角より (かく)
金より (きん)
桂馬好き (けいま)
謙二郎
扇子の文字は、この様にしたためてある。
桂馬(けいま)という駒が好きなのである。
ピョンピョン跳んで行く駒なのである。
たった一人で、王様をやっつける事が出来る駒なのだ。
そのくせ、とっても弱い駒なのだ。
さて、この扇子をパタパタさせていたある時。
居合わせたイギリス人が、何と書いてあるのか質問してきた。
とっさに、隣にいる通訳の顔を見る。
彼は、機転の働く通訳だった。
同時に、将棋の解らない通訳でもあった。
飛車よりも
スーパーカーよりも
角より
ハウスより
金より
マネーより
桂馬好き
ホースレース好き
どうも、<桂馬>を<競馬>と勘違いしたらしい。
ところが、世の中わからない。
そのイギリス人、
「きみは、素晴らしいロマンチストだ!」
と握手を求めてくる。
すべてを投げ打って
ホースレースを愛しているなんて!
というワケだ。
面倒くさいから、その通り、どうだマイったかとウソぶく。
イギリスの競馬好き小説家、ディック・フランシスの作品を次々に
並べてみせた。
競馬好きを演じてみせた。
ちょっと、ヘタクソの演技だったが・・
んん?そうか!
あの先輩の言葉。
「縁起が悪い!」
しまった!
あれは、正確には、こうではなかったのか。
「演技がわるい!」