ウインドショッピングが苦手である。
特に、服関係の店での
立ち回り方が、ワカラナイ。
客として入っているにも拘わらず、居場所がない。
何をしていいのか、困ってしまう。
こればっかりは、20代の頃からそうだった。
役者という職業とは関係なく、そうなのだ。
お店の中での居方に困惑してしまう。
違う表現をすると、
服関係の店に、平気で入って、
平気で買い物が出来る人がうらやましい。
なぜ、平気で、アレコレ触ったり、引っ剥がしたり、
着てみたり、脱いでみたり出来るのだろうか?
私の場合、店に
入った途端、もう
出ようとしている。
早く出る為に、店に入ったのである。
買わなければならない用事がなければ、
決して足を踏み込まないであろう。
だから困るのは、何を買っていいのかワカラナイ時なのだ。
セーターを買わなければならない事は解っている。
しかし、どんなセーターがいいのかワカラナイ時が困る。
そして、最も困るのが、
店員が
喋りかけてくる事なのだ。
私は、ただでさえ、何が欲しいのか解ってないのだ。
何を買えばいいのか、説明が出来ないのだ。
「いらっしゃいませ」
(ドキっ、近づいてこないでね)
「どうぞ、ごゆっくりご覧下さい」
(いや、ゆっくりしたくない)
「どんなモノをお探しですか?」
(分かってたら、すでに買ってるって)
「よろしければ、お召し下さい」
(着た姿をあなたに見られたくない)
「こちらにも、こんなモノが御座いますが」
(そんなモノはいらないし、そちらには行きたくない)
「何か御座いましたら、申し付け下さい」
(もう、帰りたい)
もの凄く偏屈な客である。
店員としては、蹴り飛ばしてやりたい客である。
みんな凄いなあ、
洋服屋さんのハシゴをする人って、凄いなあ。
魚屋さんだったら、10軒くらいハシゴ出来るんだけどなあ・・