このオジ様、とても気になる、オジ様である。
ここは、イギリスのスコットランド
その湖の畔に浮かぶ、レストラン。
<家政婦は見た>ではなく、<イシマルは見た>
レストランの、あっちの方に居るグループの中に、
そのオジ様が居た。
このオジ様のポジションが、なまめかしい。
<顔半分、影>
オジ様の上方を見上げる。
なるほど、ひとつの大きな照明がコウコウと照らしている。
その照明は高い天井から照らしている。
その下に、梁(はり)がある。
そうすると、梁の影が
どこかに出来る。
その
どこかに、かのオジ様が座ったのである。
オジ様は、単に食事をしている。
パンを食べている。
パクパク食べながら、世間話をしている。
その顔に、影が出来ている。
思いっきり影が出来ている。
あのオジ様は、
あの影が気にならないのだろうか?
半影になっている状態に、気付かない筈がない。
自分の目の前にある食べ物に
落ちている影に、気付く筈だ。
いや、そうでなくても、
顔の半分だけ光が当たっている事実に、気付かないワケがない。
画家レンブラントは、上方から落ちてくる光に
美を感じていたらしい。
照らされる側と、影の側。
その陰影こそ、究極の美しさだと感じていたらしい。
結果、レンブラント光線を浴び続けたオジ様は、
一時間に及ぶ食事中、半影を貫き通したのである。
もし、あれが、お日様であったら、
今頃、奇妙な<日焼け>が出来ただろうな・・