
海外旅行の楽しみの一つに、レストランの食事がある。
レストランでの注文で、<イエス、ノー>の選択を迫られる。
「イエス」と言って、とんでもないモノが出てくる事がある。
「ノー」と言ってしまい、食事が出来ない場合もある。
すべては、メニューに写真が無い為に起こる悲劇なのだが、
その悲劇を回避したければ、
中華か、
インド料理に行けばいい。
安心して食べられる。
味も、まあまあ間違いない。
そこで、イギリスを撮影中の我々スタッフは、
インド料理屋に入った。
スコットランドのグラスゴーにある、インド料理屋だ。
実は、私、<ナン>が大好きなのである。
主食系の食べ物で、ゴハンを除けば、
ナンが最も好きだと言っていい。
あの、マガタマの様な形の、柔らか生地を千切っては、
カレーに擦り付けて食べる美味しさは、格別だ。
ウエイターが注文をとりにきた。
「僕、
ナン下さい」
『ナンなんて無い』
「え~なんでぇ?」
『それは、インド料理だろ。うちは、
南インド料理だ』
言っている意味がよくわからん。
しかし、ウエイターがそう主張するのだから、そうなのだろう。
『コレにしたらどうだ』
ウエイターが、メニューのひとつを指差す。
さあ、ここで、
イエス、
ノーの選択を迫られる。
食べないより、食べた方がいいので、勇気を持って、
「イエス(じゃ、僕コレ)」
そして、勇気の結果、うやうやしく出てきたのが、
この写真の物体だ。

これは、なんだ?!
象の牙かい?
コレをどうしろって言うんだ!
本当に、南インドでは、
この物体を食べているんだろうな?
もし、食べれなかったら、
お持ち帰りとか、させてくれるんだろうな?
その場合、肩に担いで帰るんだろうな。
確かに、私は、
イエスと言った。言ったよ。
イエスと言ったが、
これが日本だったら、絶対に、こう聞かれるぞ。
『お客様、本当に、よろしいんでしょうか?』