
<世界の車窓から> 撮影の苦労。
放送されている番組のあるシーンを見てみよう。
列車の中が映っている。
座席に座り、外を眺めているオジイサンがいる。
窓枠の外が映し出され、風景が流れていく。
【カットが変る】
麦畑が目の前に映っている。
その遥か向こうから、列車が走って来る。
右から左に列車が通り過ぎる。
【カットが変る】
その麦畑の中を走る列車を、
とても高い場所から観ている。
これが、よくある車窓の風景だ。
では、最後のカットはどうやって撮影したのでしょう?
まず、スタッフはその列車が走る姿が見える
高い場所を
探さなければならない。
そして、先ほど乗っていた
同じ列車がやって来る時間に
その場所に登っていなければならない。
その時間に突然の
雨が降らない事を、祈らなければならない。
殆ど役に立たない
虫除けスプレーをまき続けなければならない。
時刻表をめくりながら、日本と大違いの
<時刻どおり来ない>列車を待ち続けなければならない。
ピィーーーーーー!
「来た!」
カメラマンはじめスタッフの力がこもる。
ガタタン ガタタン・・・
やって来たのは、我々が乗ってきた列車とは、
全く
色の違う列車である。
がっくり・・・
いやいや、がっくりしてもしょうがない。
次に賭けるのである。
次がダメなら、明日に賭けるのである。
(まあ、この辺でぇ~)
とは、絶対にならない。
彼らの、撮影に賭ける
ポリシーが許さないのである。
何時間でも待ち続けるのである。
食事が食べられない事は、しょっちゅうである。
眠れない事は、しょっちゅうである。
一日に、クルマの移動500キロ、600キロは当たり前である。
そして、何より、
ハプニングだらけである。
「君たち!このホームで撮影してはダメだ!」
『え~さっき許可取ったんですけど』
「誰に?」
『この駅の一番エライ方に』
「私が一番エライ!」
『じゃ、許可して下さい!』
「OK~」
で撮影していると・・
「君たち!このホームで撮影してはダメだ!」
『え~さっき許可取ったんですけど』
「誰に?」
これが延々繰り替えされる。
こんな事で驚いていては、世界の車窓からの撮影は出来ない。
では、
秘密のカメラアングルをちょっとだけ