釣りに行く。
釣りをするには、餌が必要だ。
そのエサの話だ。

海釣りのエサは、様々だ。
代表的なエサは、＜エビ＞である。
エビでタイを釣ると云うほど、エビはエサの王道である。
海の中の魚達の間でも、エビ人気は、かなり高いと思われる。
エビに食指を動かさない魚は、稀有である。
とりあえずエビを付けておけば、何かが釣れる。

釣れた魚にインタビューすれば、
「しまった、エビねえちゃんの色香にやられちまった！」
っと、ウソブクに違いない。
あるいは、汚職で挙げられて、
「魅力的なエビを使って、汚ねえ真似しやがって！」
まな板を叩いて嘆く、役職タイもいるに違いない。

そのエビを我々も、ガバガバ食べているのだから、
魚と日本人の食生活は、よく似ている・・と言っていい。

さあ、問題は、そんな魚釣りの最中だ。
エサに、サバを使用する事がある。
正確には、サバの切り身を使う事がある。
それも、今釣れたばかりのサバを、
その場で刺身にして、エサにするのである。

イシマル、サバ好きである。
相当のサバ好きである。
サバ、と書きながら、今、ヨダレを流している。
もう、書くのを止めて、
サバ定食を食べに行こうか、とさえ考えている。

その私が、釣りの現場で、エサにサバを使おうと言うのだ。
刺身にしたサバを、釣り針に引っ掛けて、
海に放ろうとしているのだ。
その現実に耐えられず、
放ったそのサバめがけて、私自身がジャンプして、
食らいつこうとしているのだ。

＜最も釣りたい魚を、エサにしている＞

そう、これは、矛盾した行為だ。
バッカじゃないの！　と言われる行為だ。

だから、釣りの最中に、黙想している。
「ごめんね、サバちゃん、決してキミを無駄にしないからね」