<気になる>
何でもかんでも
気になる。
朝起きてから、眠るまで、すべての事が気になる。
<気になる>という言葉が適切でないなら、
<引っかかる>という言い方をしてもいい。
何でもかんでも、
引っかかる。
朝起きてから、眠るまで、すべての事が引っかかる。
<引っかかる>という言葉でも言い表せないなら、
<何だろ?コレ>という言い方をしてもいい。
何でもかんでも、何だろ?コレ。
朝起きて眠るまで、すべての事が、何だろ?コレ。
気になって、気になって仕方がない。
朝、ジリリリリと鳴る目覚ましの音が、不可解で仕方が無い。
なんで、こんなドデカイ音なんだろう?
目覚めた時の天井の模様と色が気になる。
こんな天井でイイのか?
パっと点けた蛍光灯の中で死んでいる虫が気になる。
その虫の一生の最後の瞬間に思いを馳せてみたりする。
つい入ってしまった隙間の虫の気持ちになったりする。
起き上がろうとする時、この体位から、こうやって起きて
人間工学的に問題はないのか?
一歩あるき出す時、すぐにスリッパは、履いた方がいいのか、
それとも、アキレス腱を伸ばしてから、履いた方がいいのか。
アキレス腱を伸ばす時は、壁に手を付くよな。
壁代わりに本棚に手を付いたら、本棚がグラリと揺れて、
上からドサリと、
本が落ちた。
アレ?この本、ず~っと探していた本じゃないか!
あれだけ探しても見つからなかったのに、
アキレス腱問題で、かくも簡単に見つかるとは!
しかも、その本の落ち方が問題だ。
落ちた形が問題だ。
え~と、昔小さい頃、将棋の駒で、<かどまわり>
という遊びをやりませんでした?
4個の<金>を将棋版の上に放り投げ、
その出方で、スゴロクの様に、駒を進めていく。
金が上を向けば、一コマ進む。
横向けに立てば、5コマ進む。
滅多にないことだが、縦に立てば、10コマ進む。
そして、滅多どころか、ほとんど有り得ない現象なのだが、
あの五角形の駒が
逆立ちする事がマレにある。
いや、マレにない。
でも、マレにある。
その場合、
100コマ進んでいいのだ。
そんなルールなのだ。
え~と話を戻そう。
落ちてきた本だ。
その本が、その
100コマ進んでいい状態に、
立ったのだ。
立ったのだ!
わざわざ、立てても、なかなか立たない筈の文庫本が、
立ったのだ。
落ちてきた本は、文庫本である。
どっちかといえば、書籍の中では柔らかい部類に入る。
その本が、2mほどの墜落を経験したあと、着地で、
体操選手のウルトラDの妙技を披露したのだ。
そこで、こう思う。
まあそういうことも、あるだろう。
あるかもしれん。
ほんでもな・・・
朝の・・・今目覚めたばかりの・・・私の目の前で
立たなくても、いいんじゃないの?
それでなくても、
私はこれから一日中、
引っかかってばかりなんだぞ!