チンパンクライム(体育の時間)
<ぶら下がるのが好き>
世の中には
そんな奴もいる。
私だ。
鉄棒を見たら、
ぶら下がりたくなる。
公園の樹木の横に伸びた枝を見たら、
ぶら下がりたくなる。
玄関をくぐる時、つい上を掴んで
ぶら下がってしまう。
電車の吊り革が気になって仕方がない。
<吊り皮>ではなく、<ぶら下がり皮>と改名して貰いたい。
更に、その
ぶら下がり革を吊るしている、鉄棒が気になる。
あのピカピカ光る鉄棒に捕まりたい。
捕まって、足を浮かせたい。
足を浮かせた挙句、2~3回懸垂をしてみたい。
許して頂けるものなら、足を浮かせたまま、
あの鉄棒をどんどん手繰って、列車の中を移動したい。
すると、当然、座っている人の膝前あたりを、
私の身体がプカプカ漂う事になる。
網棚の鉄棒も、からんで使うので、時折、
座っている人に多大なご迷惑を掛ける事になるだろう。
それでも、ブラ~ン、ブラ~ンと列車の中を移動していく。
「それの何が楽しいんですかぁ?」
その質問には、胸を張ってこう答えたい。
『私の中の、
あの頃の遺伝子が、
ぶら下がれと欲求しているのだよ!
あの頃とは、紛れもない、
私がおサルさんだったあの頃だよ!』