<登りたい>
なんでもかんでも、登りたい人がいる。
私だ。
目の前に木があったら、迷わず登りたい。
枝ぶりのいい木であれば、すぐに登ろうとする。
枝ぶりが悪ければ、回りをまわって、悪態をついたりする。
悪態をつきながら、なんとか登れないかと、
横目で睨んだりしている。
私にとっての、魅力のある木と、魅力のない木の選別方法は、
登れるか、
登れないかだ。
「ほう~立派ですなあ、へ~樹齢600年!ソレはソレは・・」
神社などで、御神木と呼ばれる、
ソレはソレは、見た目素晴らしい大木であったとしても、
私にとっては、雑木である。
<雑木>
これは<ざつぼく>と呼んで頂きたい。
例えば、植樹した、杉の森林は、ほとんど雑木である。
だって、登れない。
真っ直ぐに立ち尽くす木ほど、登る楽しみがない。
昔、15少年漂流記や、トムソーヤの冒険に登場した木は、
登れる木だった。
登りがいのある木だった。
地面に近いあたりから、枝分かれし、
広く広く枝が分離していった。
最近流行の、ツリーハウス(樹上生活)の原点である。
「♪~この~木何の木、気になる木~♪~」
というCMがあった。いや、今でもあるが、
あの木は素晴らしい。
あの木に登りたい。
あの木のあちこちに登って、散策して、腰掛けたり、
寝そべったり、時には、懸垂したり、逆立ちしたり、
飛び降りたり、飛び移ったり、
そして、テッペンに登って、木を揺すったり、
遥か遠くを眺めたり・・・
だあ~ってねえ、誰だか知らない、
名前も知らない昔々のDNAが
『登りなさい!』
と、私の身体を押し上げているんだナ。
・・たぶん