
<原尻(はらじり)の滝>
大分県にある瀑布である。
又の名を<大分のナイヤガラ>と呼ばれている。
落差20m。幅120m。
そんなんで、ナイヤガラとは大袈裟だが、
規模こそ違え、確かに、形状は似ている。
日本では、あまりお目にかかれない滝だ。
面白いのは、この滝の存在する場所だ。
通常、滝というのは、山深く入り込み、
ドウドウと云う音に気付いて、
発見されるモノだ。
発見されるアリガタサを愛でる為に、わざわざ出かけるモノだ。
発見した感激を、後世に伝えたいモノだ。
しかし、この原尻の滝は、発見されなかった。
発見する必要がなかった。
目の前にあったのである。
畑の真ん中を流れる川が、
突然ドウドウと落ち込んでいるのである。
滝の回りの畑では、
じいちゃん、ばあちゃんがクワを振るっているのである。
宅急便の車が、滝の上の道路を走っているのである。
私が高校生の頃、このすぐ傍に住む友人の家に遊びに行くと、
決まって、この滝で遊んだ。
滝壷で泳ぎ、滝の裏側の探索をやった。
そして、当時ここは、観光地ではなかった。
余りにも当たり前の様に、村の中にある滝を
カンコウチにする考え方がなかった。
しかして30数年経ち、
いつの間にか、この滝は観光地となった。
人様にお見せする景勝地だと、気付かれてしまった。
違った意味で、
発見されたのである。
発見されると、こんなカンバンも立てられてしまった。

その昔、子供達は、この滝の上から
飛び込んでいたのである。
キモダメシとしては、いささか高さ(20m)がシビレル。
少なからず、悲しい出来事もあったようだ。
でも、飛び込んでいたのである。
飛び込む子供達を、傍らの畑から、草取りの手を休め、
「バカんじょうやのう(バカばっかりだわい)」と
笑っていたのである。
お馬鹿な時代は、夢のかなたに・・・