私の知り合いのオジサンに、
高校時代、水泳部に入っていた男がいる。
その動機が
不純だった。
水泳部に入れば、女子生徒の水着姿を
どうどうと眺められると考えたのである。
動機そのものは不純であるが、青年としては、正常である。
断っておきたいが、
45年ほど前の話である。
さらに断ると、45年前も今も、不純さは同じであるらしい。
話を進めよう。
同じく入部した仲間も動機が不純だった。
不純さの
動機が同じだった。
その不純さが影響して、練習が熱心でなかった。
だからか、過酷な練習に耐えかね、次々に止めていった。
結果、残った選手が少なかった。
ところが、不純な動機に執着し続けた彼は、残ってしまった。
しかし、そんな水泳部にも、水泳大会はやってくる。
ご存知の通り、水泳は、種目が多い。
泳法だけでもたくさんあるのに、
100mから、1万mまで何種目もある。
となると、彼の、水泳部は、
一人が数種目にエントリーしなければならない。
いくら高校生とはいえ、コレは大変だ。
そして、彼は、出続けた。
泳ぎ続けた。
その結果、水泳界では<
前代未聞の失格>を演じるハメになった。
余りの疲労の為、レース中に、
プール内に
立ってしまったのである。
立って休んでしまったのである。
これは、マラソン選手が路上に座り込んだのとワケが違う。
<失格>である。
水泳をやっている方なら分かると思うが、
レース中に、休んで立っちゃった選手なんかいやしない。
水泳選手とは、
歩くより泳いだ方が楽な連中ばかりである。
なのに、彼は立っちゃった。
水泳選手がブクブク溺れかけたのである。
不純な動機の
むくいは、こんな形で彼を襲ったのであった。
とは言いながら、彼の<不純な動機>は
多少、スポーツの進歩に貢献したかも・・しれない。