
昨日の続き
パヤオの周りで我々が釣りをしている最中の事だった。
我々とは、ウインドサーフィンの仲間3人と私と、船長だ。
そいつは、突然現れた。
我々5人の目ン玉を、真ん丸く開かせた。
釣り漁船から、300mほど離れた場所に、
汐柱が2本揚がったのだ。
「
クジラだ!」
我々が叫ぶ。
『近い!』
船長がつぶやく。
個体の大きさから、推測すると、
母親クジラと子供クジラと思える。
体長は、15m位と、10m位。(20mと云う意見もあった)
(50mという意見もあったが、無視した)
『近づきますかぃのぉ」
船長は、釣りを一旦切り上げ、
クジラウオッチングをしようと云う。
するとだ、
母クジラが、
独特の動きをし始めた。
まず、逆立ちをして、尻尾だけを海上に出し、
ヒラヒラと振って見せる。
ヒラヒラったって、馬鹿デカイ、ヒラヒラだ。
グワングワンだ。
・・とどうだ・・
子クジラがそのマネをするではないか!
次は、横になり、片手(でいいのかな)を海上で
ブラブラ振って見せる。
その片手が、異常に長い。体長三分の一ほどもある。
すぐに、子クジラがマネをする。
そして、極めつけのショーが始まった。
ボクリ・・と潜ったのだ。
あれっどこ行った?
と思った刹那・・・
ブワッシャャャャ~~~~~~!!!!!!!
水中から、
巨体が飛び出したのだ!
人間で表現すると、シンクロの選手が水中から飛び出し、
後方にのけ反り、やや右側に身体を傾け、
右の腹から水面にダイブするのである。
水から、離れていないのは、尻尾だけだ。
とてつもない迫力。
シブキが、10m以上も挙がる。
クジラ博士の言う、
<
ブリーチング> である。
すぐに続いて、子クジラも小さなジャンプする。
それから、このブリーチングが、なんと
延々続いたのである。
『一回だけなら見た事あるンじゃが、こげに何回もは初めてじゃ』
長年、海に出ている船長にして、初めての経験だという。
これは恐らく、ある年齢に達した子クジラに、
母親が、色んなワザを、
教えているらしい・・と推測出来る。
我々から、100mほどの距離での、大ジャンプである。
船長も、舵を握りしめ、いつでも逃走する構えを隠さない。
なんせ、ジャンプの度に、大きな波が起こり、
漁船は、木の葉の様に、舞い上がる。
親子が間違って、もっと近くで、飛び出したら
間違いなく漁船は転覆してしまう。
なんたって、漁船の3倍以上の大きさのクジラだ。
そして、その後、我々が釣りを再開しても、
飽きる事なく、母クジラの教育実習は続いたのである。
クジラの母親は、文字通り、
偉大であった。
ああ、びっくりしたぁ~

20~30回続いたブリーチング