
この4ヶ月、サンヨーのムービーカメラ<ザクティ>の
映像リポートをサンヨーのインターネット内で
お届けしてきた。
そのお預かりしていたザクティを返却する前に、
南の島、与論島で、美しいリーフの映像や写真を撮ったのだ。
素晴らしい写真が撮れたと、自負していた。
そのザクティが、なぜか、
今、手元にない。
はっきり言おう。
「紛失致しました」
どこで?
え~と、今現在、日本にあるのか、海外なのか解りません。
ちょっと、説明が必要だね。
与論島に、昔からの伝統漁 <イザリ> なるものがある。
年に数回、大潮の夜中、汐が極端に引くのである。
島の周りにある、リーフ(環礁)が干上がり、
その上を
歩けるのである。
干上がった岩場に落ちているサザエを拾ったり、
更には、ちょいと潜って魚を突いたりする。
そのイザリにイシマル探検隊、隊長以下2名の部下を連れて、
出発したのだった。
南国とは云え、時は冬。
ドライスーツに身を包み、左手には、懐中電灯。
右手に手製のモリ。
腰には、ヒモが結び付けられ、その先に、
ハッポースチロールの箱が括り付けられている。
獲物が採れたときに、入れる為の箱だ。フタもある。
出発は、真夜中の11時。
新月なので、全くの
闇の世界である。
ただし、満天に星が煌いている。
冷たい水にザンブと飛び込む。
リーフまで、300mをシュノーケリングしようと云うのだ。
イシマル隊長、方角を
カシオペア座に定めた。
真っ暗な海の中を、懐中電灯の青いライトが照らし出す。
幻想の世界に酔い心地になる。
20分もフィンを蹴っただろうか・・
(おかしい?)
リーフに辿りつかない。
一旦、隊員2名を呼び寄せ、点呼する。
「どうやら、方角を
誤ったらしい、今度は、
北斗七星を目指す」
バシャバシャ~
更に、20分が経過した。
(おかしい?)
リーフに近づかない。
「え~はっきり言おう、迷った・・らしい」
その後、迷走に迷走を続け、
1時間以上真っ暗な遊泳をしてしまった。
悪い事に、風が強くなり始めた。
「よし、みんな聞いてくれ・・・
帰ろう」
ひたすら、隊長を信じ、暗黒の海を泳ぎ続けてくれた隊員は、
口にこそ出さなかったが、
(アホちゃうかぁ!)と呆れている筈だ。
隊長失格である。
その時だ。
「あれっ無い」
腰に括り付けていた筈の
ヒモが無くなっている。
ハッポースチロールの箱が無い。
強い風で、ヒモが千切れ、あっという間に、流されてしまった。
(え~と、あの中に何が入っていたかな?)
ライトと、隊員の靴と・・・
ガーーーーーン!!
ザクティが入っていたじゃないか!
そうなのだ。
ザクティは今、流浪の旅に出たのだ。
ハッポースチロール箱という船に乗って・・
潮に乗り、風に乗り、情けない隊長の元を去ったのだ。
ここで、一応、<ネット捜索>を発表しておきます。
どこか、海上、もしくは、海岸で、
ハッポースチロールに入ったザクティを発見された方、
御一報を・・・
中身の映像は、コーラルグリーンの美しいリーフです。
ちなみに、ついでに入っていた運動靴は、
隊員であるバスガイドの<ネーヤン>の所有物です。