
神奈川県の三浦半島の海岸で、
ウインドサーフィンの道具の点検をしていた。
その砂浜に、近くにある幼稚園の園児たちが、
散歩に現れたのだ。
ゾロゾロゾロゾロ。
二人づつ手を繋いで、目の前を過ぎてゆく。
砂浜に座っている私と、目線の高さが同じだ。
アハハ、可愛いな・・
すると、その中の一人の園児が、
挨拶をしてくれたのだ。
「コンニチハ」
おう、いい子じゃないか、返事を返す。
『はい、こんにちは』
この何気ない挨拶が、このアト、私を悩ませる事になるとは!
その子の挨拶を聞いた後ろの列の子が、真似したのである。
「コンニチハ」
『はい、こんにちは』
さすればどうなる?
何でも
真似したがる年代である。
私の目の前を通過する園児たちが口々に、
「コンニチハ」
『はい、こんにちは』
まあ、微笑ましい光景ではある。
ではあるが、その時、私は知らなかったのだ。
その幼稚園には、園児が
500人いるという事実を。
500人!
そんなに園児が多い幼稚園があるんだ!
あとからあとから湧いてくる園児の群れ。
「コンニチハ」
『はい、こんにちは』
もう終わるだろう、もう終わるだろう、の期待空しく、
コピーすれすれの、挨拶が続く。
「コンニチハ」
そっちは、一回で済むだろうが、
こっちの身にもなってみろってんだ。
『はい、こんにちは』
だからと言って、今更無視する訳にもいかず・・
『はい、こんにちは』
それから、信じられない程の時間が過ぎ去った。
陽が傾いた気がした。
最後の最後に引率の先生が嬉しそうに向かってきて、口を開く。
「コンニチハ」
『・・・・んにちわぁ』
聞く所によると、隣の町の幼稚園はもっと人数が多いそうだ。
少子化って、ウソだろおぉ~~!
『はい、こんにちは』