世界の車窓からの映像を見ていると、
面白い光景にたくさんお目に掛かれる。
むしろそんな光景に出くわしたいと、願っている自分がいる。
10数年前の
北京駅の切符売り場が、面白かった。
当時、北京の切符売り場は、
人が整然と並ぶシステムが無かった。
早い者勝ちだったのである。
するとどうなる?
4つ程の売り場に何百人の人達が殺到したのである。
おしくらまんじゅう状態である。押しているうちはまだいい。
問題は、運よく買い終えた人だ。
その窓口から、去りたいのだが、
後方から大勢の人に押されている為に、脱出する事が出来ない。
1対何百に勝てる奴などいやしない。
っと突然、行き場を失った男性が、
なんと!
売り場全体を覆っている金網に登り始めたのだ!
ガッシガッシと金網を掴み、身体を持ち上げる。
金網を登るクライマーとも云える。
車窓班のカメラは、確実にそのクライマーを捉えていた。
そのクライマーから目が離せなかった。
じわり・・じわり・・
やがて、ついに身体を持ち上げ、人ごみを脱した。
すなわち、キップ売り場の真上に
ヤモリの如く張り付いているのである。
脱したものの、どうするのだろう?
車窓班のカメラはしぶとく追う。
じり・・じり・・なんとその男性、横に移動を始めたのだ。
クライミング用語で云うところの、
<トラバース>
非常に難しいテクニックだ。
しかも、掴まっているのは、細い金網。
恐らく、指は悲鳴を挙げているに違いない。
じり・・じり・・
思いのほか、長い時間が経過した。
トラバースする事、10mあまり・・
やや人ごみを外れた地点で、
ドスン!
見事、着地したのである。
脱出成功!思わず、拍手ぅ!
そこで、車窓の映像は終わる。
ふむ、彼は素晴らしかった。
拍手を送った。それはそれで良かった。
でもさぁ、他の人達は
買ったあと、どうやって脱出したんだろう・・・?