
空飛ぶ飛行船に、あなたが乗れるかもしれない。
ザ・マスターズの景品を賭けて、ジャンケン大会が行なわれた。
「さあ、このペアチケットを賭けてのじゃんけん大会で~す!」
イシマルがレースの終わりに、マイクで喋る。
私と全員がじゃんけんで戦う、例のアレである。
アイコも負けである。
「いくぞぉ~ジャ~ンケ~ンポン!」
85人が一気に、30人になる。
「ジャ~ンケ~ンポン!」
5人になった。
「5人の方、前へどうぞ」
ここからは、私とではなく、普通に自分たちでジャンケンをする。
「じゃんけ~んポン!」
おお~~~あっという間に、二人になってしまった。
50才を超えたウインドサーファーと、まだ若きレディースだ。
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ここで、私に
あるアイデアが浮かんだ。
「さあ、二人の対戦!では、お二人は、
目をツブッて下さい。
私が
開けてと言うまで、決して開けてはなりません。
手は、空に突き上げてください」
ワケも分らず、とりあえず、目をつぶる二人。
「さあ、いってみよう。ジャ~ンケ~ンポン!」
その瞬間、会場がどよめいた!
ワアアアアア~~~!
二人が空中に突き出した指の形がはっきりと、
勝ち負けを現している。
どっちが勝ったか、観客は知ったのである。
ウワアアアア~~~!
悲鳴の様な、どよめきが続く。
知らないのは、壇上の二人だ。
二人の心を覗いてみよう。
(え~ナンなの?なんなの?どっちかが勝ったの?
どっちなの?私なの?それとも。私は負けたの?
うう・・
目を開けたい!)
観客は、その二人の心情が手に取るように分る。
目を開けた時の、歓喜と落胆、両方想像できる。
司会者イシマルは、なかなか目を開けさせない。
まだまだ、長引かす。
観客も、どよめきをいつまでも引っ張る。
(目ぇをぉ・・開けぇたぁあぃ・・)
「はい、目を開けて!」
そうっと、目を開けたふたり。
相手の頭上にある、指の形を見た瞬間!
レディースが
飛び上がった。
文字通り飛び上がった。
身体を弓の様にのけ反らせて、壇上から、空に飛んだ。
観客の目には、しばらく
落ちて来なかったように思えた。
私の目にも、
落ちて来ない彼女の歓喜の雄叫びが聞こえた。
へ~キミの場合、そんなに飛んでるなら、
もう飛行船乗らなくていいんじゃないの?
ふむふむ、この<目つぶりジャンケン> 面白いな。