昨日、長い間チャレンジしている話しをした。
実は、もうひとつ、チャレンジし続けているものがある。
もの心ついてから、
まだ一度も成し得ていない事がある。
20才を過ぎてからは、意識してチャレンジしているが
未だ、成功していない。
それは・・・
<アメ玉を最後まで舐める>
一見なんでもない様だが、これがいかに難しい行為であるか!
「そ~んなの簡単じゃ~ん」
と簡単に仰られる方には、
とうてい理解出来ないかと思われる難しさである。
さて、では、やってみましょう。
丁度目の前に、直径1センチのアメ玉がある。
包装をといて、今ほうり込んだ。
カラコロと歯に当たる音がする。
昔ながらの、甘いアメ玉だ。
私はセッカチである。
自動ドアが開くのが待てなくて、よくブツカル人間である。
自動改札機を通る時、パスモが感知される前に通り過ぎ、
バタンっ!と閉められてしまう人間である。
(うむ、少し溶けてきたな)
<アメ玉を舐める>という行為は、忍耐を要する。
他の食べ物であれば、口中に入った途端、たちまちの内に、
食道方向に押しやられる。
すなわち、同じ味の物体がいつまでも、口中に留まっていない。
ところが、アメ玉だけは、食事の異端なのである。
美味しいと感じても、飲み込んではいけないし、
よもや、
噛んではいけない。
(やや、小さくなってきたな)
しかし、BUT、だけんども!
液体ならいざ知らず、口の中に固形物が侵入しているのに
<噛んではいけない> っちゃ、どげんこつね!
例えば、固形物で味のする歯ブラシが口中に侵入しても、
噛みたいなどと思わない。
ただあんぐり口を開けている。
ところが、今、口の中で転がっているのは、
噛んでしまえる物体なのだ。
噛みたくなる歯ごたえを有しているヤツなのだ。
(随分小さくなってきた。たぶん薬の錠剤ぐらいかな)
私の脳は噛んではいけない・・と命令を発しているのだが、
歯とアゴは、不随意筋で出来ているのだろうか、
いつの間にか、ガキっと噛んでしまう。
(おお~っと、今、思わず噛みそうになってしまった)
このアメ玉ってヤツは、口の中で、
凄まじい動きをする。
一時もじっとしていない。
歯と舌のコンビネーションで、上下左右前後、
次から次へとパスをされる。
バスケットのパスの比ではない。
卓球の打ち合いに近い。
温泉場にあったピンボールゲームに似ている。
銀色の鉄球が目にも止まらぬ速さで、台の上を飛び交う。
あの飛び交い方にそっくりだ。
ピコーン!ピコーン!
ただ、時折、じっとする時間帯がある。
あれはナンだろう?
さすがに、舌も疲れるのだろうか?
歯茎と頬の間で、ひっそり休ませている。
っと安心していたら、またまた、ピンボールゲームだ!
ピコーンピコーン
卓球だ!
ガキッ
そうしてその内、アメ玉は自然消滅しなければならない。
そういう食べ物であるはずだ。
ん?今、
ガキッって言わなかったか?
言ったよね。
ガ~~~~~~ン!
噛んじゃった。
やっぱ噛んじゃった。
つい噛んじゃった。
不随意筋が私の脳みそを無視した。
又、チャレンジは失敗だった。
ああいつの日か、アメ玉を最後まで舐められる事を祈って・・