~昨日の続き~
『へい、わかりやした、ついて行きやすぅ』
ニューヨークはハーレム街の路上で、タップダンスを
披露していたイシマル。
バカデカイ巨体の、ヘッドらしき人物に、
香辛料たっぷりの口臭を吹きかけられた。
「来い!」
(来い・・と自分で通訳したのだが、COMEではなかったな)
そのヘッドと思われるアンちゃんの後を、ぞろぞろと、
皆がついていく。
どんどん人が増える。
この街の人達は、暇であるらしい。
っ、とある、ドアをくぐった。
昼間なのに、真っ暗な店だった。
日本風に表現すると、立ち飲み喫茶である。
入った早々、ヘッドのアンちゃんがコレを飲めと言う。
見ると、
コーラだ。
飲んだら、踊れと言う。
なるほど、奢ってくれるわけだ。
大雑把な考え方をすると、ギャラだ。
カタカタ コンコン、チキチキバンバン~
それから、どれ位、床の板を叩き続けただろう?
ついに、ふらふらになり、スツールに倒れこんだイシマルに、
再び、ギャラのコーラが振舞われた。
周りで、囃し立てていたアンちゃん達が、
何も飲んでいないところを推察すると、
この街では、コーラでさえ、安いモノではないようだ。
不思議な事に、アンちゃん達は、
この黄色い色をしたタップの男に、話し掛けてこない。
ひとときのパフォーマンスが終わった余韻を
楽しんでいるだけだ。
しばらくの後、ヘッドのグローブの如き手に握手を求めて、
その場を離れた。
その後、イシマルはその街をフリーで歩けたのである。
だらだらと歩いていくと、
やはり、ココでは
妖しいらしい私の周りに人だかりが出来る。
すると、その中の一人が、
「コイツ、
タップの兄ちゃんだよ」
と声を出してくれるのである。
すなわち、
コイツは妖しくないよ・・
やばくないからね・・
大道芸人だからね・・とハンコを押してくれるのである。
コーラ一本恵んでやったら、しばらく楽しめるぜ・・
ヘッドのお墨付きだぜ・・
20年前のお話しだが、
も、一回行きたいなあ~