
将棋のプロというのは、ユニークな人間の集団である。
その中でも、私のお気に入りなのが、この方。
<石田和男九段>
まず、そのお写真を見て頂こう。

う~む、顔が見えない・・というより、盤面が見えない。
テレビ対局では、天井にカメラが設置されてある。
その上に覆い被さったのでは、
視聴者には盤面を見せる事が出来ない。
石田九段、将棋に没頭すると、文字通り没頭するらしく、
周りが見えなくなるらしい。
出身は、愛知県岡崎市。
ドリフの加藤茶と同郷である。
そのせいか、喋り方が似ている。
頭のてっぺんから声が飛び出てくる。
対局が煮詰まってくると、動きが激しくなる。
先述の、盤面に覆い被さるのは、いうまでもない。
頭を掻いたり、のけぞったり、やがては、
扇子で頭をバシバシと叩き始める。
思いっきり叩いている。
いくらなんでも、そりゃ痛いだろう・・と思われるが、
本人に自覚があるかどうかは不明だ。
一対局で、一本扇子を駄目にするとは、本人の弁。
そして、勝負がつく。
プロの棋士という人達は、概して感情をさはど現さない。
どちらが勝ったのか、ワカラナイ事もある。
しかし、こと石田九段に関しては、非常に解りやすい。
内なる喜びを抑えきれずに、相手を見つめている。
自分では隠しているつもりなのだろうが、
目尻が、たら~んと垂れ下がっている。
誰が見ても、「あなたが勝ったのね」
勝った時はまだいい。
問題は負けた時だ。
この落ち込み様は、痛ましい。
がっくり・・という表現を
これほど解りやすく示してくれる人物もいない。
大相撲の高見盛か、石田九段かと、私に言われている。
やがて、対局者同士の局後の検討に入るのだが、
ここで、
ぼやきが始まる。
<石田のぼやき> との異名まで頂いている、ぼやきだ。
「ああ~こうすりゃ良かったのかぁ~」
「えっ、そうすりゃ、勝ってたのぉ~」
「うわぁ~ダメだねぇわたしはぁ~」
プロと云われる方で、かくも正直な人もいないだろう。
「えっ、なになに、じゃぁどうやっても、私は
負けてたのぉ~」
テレビで拝見している限りでは、小学生としか思えない。
但し、この方、九段ですぞ。
段位の最高は、九段までしかない。
いわゆる、天才である。
そうだ! 天才石田九段に、お願いがある。
私とポーカーゲームで戦って頂けないであろうか?

左 石田九段