鍛冶屋さん
<待てば海路の日和あり>
兼ねてより、
素晴らしく良く切れる包丁を探していた。
東京の築地魚河岸へ足を運ぶ度に、刃物の店先で佇んでいた。
素晴らしい包丁というフレーズに合格するべく品物が
探しきれないでいた。
《探し物;向こうからやってくる》
神社の
おみくじではないのだが、
ソレは向こうからやってきた。
<ぶらり途中下車の旅>というテレビ番組で、
京成線に乗った。
京成線とは、上野駅と成田空港を結んでいる鉄道だ。
その成田空港の近く。
♪~ふいごの音さえ息をもつかずぅ~♪
仕事に精だすぅ村の
かぁじぃやぁ~♪
ぶらり~と歩いていた私の耳に聞こえてきたのは、
鍛冶屋さんの鉄を叩く音・・
カンカン ココンカン
昔、どの町にもあった鍛冶屋さん。
今では殆ど見られなくなった鍛冶屋さん。
その鍛冶屋さんが、熱い内に鉄を打ち、
包丁を作っていたのだ。
そんじょそこらにない素晴らしい包丁に情熱を捧げていたのだ。
待ったなしです、すぐに買い求めました。
値段はそれなりにしました。
いえ、値段の事など、言うのは止めませう。
素晴らしきモノに<円>をチラつかせてはなりませぬ。
向こうからやって来た海路の日和は、
神々しく輝いていたのだ。
私は、明日を夢見ている。
さて、この輝きで、どんな
魚を捌こうか・・・
なぜか大きなハサミ